[字幕動画] トム・コーワン: 研究所流出説と操作されたウイルスという嘘

投稿者: | 2024-06-24

今回は研究所流出/機能獲得実験に関係する動画を取り上げました。マーク・ベイリーが『HIV Inserts, Lies & Lab Leaks』 (このタイトルは、1989 年の映画『Sex, Lies, and Videotape』 (セックスと嘘とビデオテープ) のもじりかなと思っています) という論文を書いたことは知っていて、読みたいと思っていたところだったので、トム・コーワンが動画で話してくれたのはいいタイミングでした。最近米議会の公聴会でファウチが証言したことや、ファウチが以前所長を勤めていた米国国立衛生研究所 (NIH) の主席副所長が NIH が機能獲得実験に資金を提供していたことを認めたともあって、機能獲得実験の話がまた話題になっています。動画で 60% のアメリカがコロナウイルスは研究所から流出したと信じていると言っていましたが、そういう意見が浸透してきているのは確かで、オルタナティブ・メディアでは、研究所流出はもう当たり前の事実のように話す人もいます。

さらに今アメリカでは鳥インフルエンザが話題になっていて、農場で働いていた人が感染したとか、(鳥インフルエンザのはずなのになぜか) 牛乳から陽性反応が出た (もちろん PCR 検査) から牛が感染しているとか騒いでいます。症例はごくわずか、しかもなぜ鳥インフルエンザの検査をするのかわからないものを検査して陽性だったと大騒ぎをしていて、たとえウイルスの存在を信じていたとしても恐怖を煽っているのがあまりに明らかなので、真に受けていられません。動物にウイルス感染症が出たというと必ず動物の殺処分ということになるので、それに関しても言いたいことはたくさんあるのですが、この記事でなぜ鳥インフルエンザを持ち出したかというと、これも機能獲得実験で作ったウイルスだと言い出す人がいるからです。たとえばピーター・マッカローは、鳥インフルエンザの機能獲得実験が行われており、人間が感染しやすいようにしているとか、マガモに感染させて全世界に広げようとしているとか、あげくのはてに鳥インフルエンザが疾病 X だとまで言いだす始末。ロバート・F・ケネディ Jr. も鳥インフルエンザは研究所で操作されたものである可能性があると発言しています。鳥インフルエンザで機能獲得実験が行われていたというのは今に始まった話ではなく、2012 年ぐらいに河岡義裕という日本のウイルス学者が鳥インフルエンザを操作してフェレットに感染させたとかいう話もあり (ウィキペディアの記事サイエンス誌の記事を参照)、機能獲得実験はあまりに危険だということで、2014 年に米連邦政府は一時的に資金提供を停止したのに 2019 年には復活したとか (サイエンス誌の記事を参照)、探してみるといろいろ出てきます。河岡義裕さんの関わった 2012 年の論文を見てみると、プラスミドを入れていたり、チフツ菌を使っていたり、遺伝子組み換えの技術を使っているようなので、普通のウイルスを発見したという実験とは違ってさらに複雑です。遺伝子組み換えの実験でも細胞培養が行われているのは確かなのですが、この辺ももっときちんと調べてみたいところです (遺伝子の話も、一般に教科書に書かれていることは間違っているという話もあり、ウイルス学同様怪しげです)。

機能獲得実験の話は、単にウイルスの存在を信じているよりもたちが悪いと思います。ドラマ性があって、人の心を引き込んで、虜にしてしまう力があるような気がします。最近本当に久しぶりにデル・ビッグツリーの The High Wire (具体的に言うとエピソード 376) を見てみたのですが、ロバート・マローンが出てきて、機能獲得実験が人類最大の脅威だと言っていました。このエピソードのタイトルが「The Art of War」 (兵法) となっているように、デル・ビッグツリーにとってこれは戦いなのだと思います。機能獲得実験などという危険なことが行われていて、それをやっている悪人を追い詰めてやっつけるのだという正義の味方を演じることに酔っているのかもしれません。ウイルスがいないとなったら、誰を悪人にして戦えばよいのかわからなってしまうでしょう。誰でもそういうドラマに惹かれる気持ちはあるし、自分の役柄に酔ってしまうことはあると思います。なので、きちんと事実を理解することと同時に、自分の心も正直に見つめてみる必要があります。

マーク・ベイリーの論文にあった SARS-CoV-2 のインサートが HIV のタンパク質によく似ているという論文を見てみましたが、データベースのゲノム配列を解析しているだけ。スパイクタンパク質の部分に 4 箇所、他のコロナウイルスにはない配列があって、それらが HIV のタンパク質の配列と似ているというのです。データベースにあるゲノム配列自体ウイルスのものだという証拠はないので、それを解析したところで結果に意味があるとは思えません。ただ、興味深いと思ったのが、ウイルスの配列で、どの部分がスパイクタンパク質のものなのかがわかっているみたいなんです。遺伝子とタンパク質の関係などについては私はよくわかっていないのできちんとした批判はできないのですが、どうやってその配列がスパイクタンパク質のものだとわかったのか素朴に疑問です。HIV のタンパク質だという gp120 についても、普通に調べると HIV のタンパク質と説明されていますが (たとえばウィキペディアの記事)、それを最初に発表したという論文はお金を払わないと見れないものなので、残念ながらそれをどうやって特定したのか読んでみることはできませんでした。マーク・ベイリーの論文で説明されていたベス等の論文は、HIV ウイルスと微小胞が一緒に精製されてしまうので、微小胞を特性化するためにやった実験のようですが、一緒に精製されてしまうのなら、どうしてそれがウイルスだとわかったのでしょうか。電子顕微鏡の写真も載っていますが、これはウイルス、これは微小胞と矢印で示すという「Point and declare」 (指して宣言) 手法を使っていて、思わず声を立てて笑ってしまいました。ウイルス関係の論文を読もうとすると、やはり用語が難しくてわかりにくくて頭がクラクラしてくるのですが、存在が証明されていないのにもかかわらず、想定の上に想定を重ねてウイルスの特性やら機能やらをこと細かに説明できてしまうというところに、あきれるというよりは脱帽します。でも、どんな風に説明されていようと、どんな複雑な高度な実験をしていようと、ウイルスの存在が証明されていない状態で何をやっても、まったく意味はありません。ウイルスがいなければ、機能獲得実験も何もあり得ません。

機能獲得実験、生物兵器についての次の動画も参考にしてください。

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